「科学者の社会的責任」について (5)

では この 優れた 哲学者は、原水爆の 出現という まったく 新しい 事態に どのような 見解を 示したのか。

K・ヤスペルス「原爆と人類の将来」(『世界』1958年 5月号掲載)

粟田賢三「現代の課題」(1963年) から 引用 (粟田賢三『マルクス主義における自由と課題』1975年刊 収録)

全体主義によって自由を奪われるなら、生活は生きるに値しないものとなるだろう。原子爆弾によって一切の生命が脅かされるか、全体主義 (社会主義体制) によって一切の自由が脅かされるか、途方もない決定の瞬間がやってくる可能性がある」(ヤスペルス)

自分たちがこんにち享受しているような自由 -- 資本主義社会での自由 -- がなければ「生きるに値しない」と考えるのはその人たちの自由であろう。しかし、そう考えない人たち、まだ判断できない幼児や子ども、また将来の世代のもつ可能性を断ち切ることが許されるであろうか。このような決断を下す瞬間に、その人たちは自由の擁護者ではなくなって、その反対物に転化してしまうのである。いろんな意見をもった自由を否定することになるからである。(粟田賢三)

科学と 宗教だけでなく 哲学においても 過去の 失敗から 学ぶ 必要が ありそうですね、