「科学者の社会的責任」について (4)

次に、ラッセルと 同じく 知識人であり 哲学者である ヤスペルスの 戦争責任について、真下信一は どう 評価したかを 見てみます。

真下信一『思想の現代的条件』(岩波新書 1972年) から

ハイデガーの思想はいかなる意味においても理性の哲学ではないが、ヤスペルスのそれは哲学的伝統を踏み、神をもち、超越と理性の哲学であろうとする」(真下信一)

「次に、一般に直接的には『私的』なことに由来するとみえる個人のあり方というのも、じつはそれほど彼の思想にとって外的なものでも偶然的なものでもなくて、ことにヤスペルスの場合のように配偶者の関係を意味する場合、ある特定の私的事情は、彼のまさに生きた思想によって作られ、逆にまた思想を作るという面をもつものである以上、人間の思想と内的に深く関わっているということをよく見る必要があるということである」(真下信一)

(参考)「知識人の戦争責任〜真下信一『思想の現代的条件』について」 http://sekiyo.hatenablog.com/entry/20130420/p1