miscellanies

[葬儀のあとで]
身体機能の 低下は、記憶の ブロックによる 障害を 伴っている ケースが 多いようです。
数年前の ある日、母親が 「漢字が 思いだせない」 と いって メモを 渡してきたことが ありました -- わが家では 部屋ごとに 筆記具と メモ、それに 老眼鏡を 置いています。 見ると、よく わからない 文字が 震える 筆跡で 書かれてます。 「自分の 名前や 住所なら 書けるはずだから 心配ないね」 と 答えると、ブツブツ いっていましたが、あとで コッソリ 名前と 住所を 書いていたらしく、しっかりした 筆跡で -- 指先が 覚えてるのでしょう -- メモに 記されていました。 大切な 記憶は ちゃんと 引き出せることが わかって 安心したのか、それからは なにも いってこなく なりました。
あいかわらず (母の いうところの) 「ミミズの のたくったような」 字で なにか 書いては いましたが ...
記憶の ブロックに 対しては、手順を 踏むことで その 記憶を 引き出すことが できるように なります。 亡くなる 1週間前、「家族 (子ども) の 名前が でてこない」 と 不安そうに いってきました。 メモを だし、本人の 名前、母の 両親の 名、兄弟の 名前を 書きながら 「ほとんど 死んじゃったな」 と いってると、思いだしたらしく、ぼくが 書く 子どもの 名前を 目で 確かめていました。
筆跡が 震えることも そうですが、身体機能の 低下は まず 手から 始まります。 母親には 自分で できることは なるべく 自分で やってもらい、できない分だけ ぼくが 補助するように していましたが、その 多くは 手先が うまく 動かないことからでした。
「忘れたら また (一から) 覚える」、母親への アドバイスは これだけ、簡単ですね。 なにか できないことが あると、ぼくが 代わりに するのですが、その時 母親は ぼくの 手元を じっと 見ています。 何度か 失敗を くり返した後、もとのように できるように なります。 鍵の 開け閉めや 水道の 蛇口での 手の 使い方とか。 ただ、服の ボタンが とめにくくなるのは 手元を 見ずに 手探りで するからです。
一つ 意外だったのは、タッチパネル式の スイッチです (リモコンの ボタンを 含めても いいでしょう)。 空間を とらえる 能力が 衰えるためか、うまく 指先が その場所に 届かないのです。 押す 力かげんも うまく いきません。 これには さすがに 困りました。 ほとんどの 電気製品や ガス器具が タッチ式だからです。
老人が 一人で 遠出を しない 要因の 一つは 駅の 自動券売機に ありそうです。 それに 金融機関も。 母は ひと月に 一度、預金のため 郵便局に いっていましたが、窓口で 申し込みを していました。
あと 細かいことですが、左手で 右手の ツメを 切るのが 少し つらくなります。 代わりに ぼくが 切るのですが 不満らしく 何度も 自分で やり直していました。
亡くなる 3日前、母親を 見ると、普通に 右手の ツメを 爪切りで 切っていました。 自分で 思いだしたのでしょう。
次は、体操のことを ...