miscellanies

sekiyo2005-01-18

去年は 冬の 京都古書市へは 行かなかった、というより 気づいたときには 終わってました。
ネットの世界で 遊んでいるほうが 楽しかったことも あるかもしれない。
ちょっとだけ 悪口雑言してみよう。



京都に 臨川書店という 中規模の 出版社が ある。この会社、毎年と いうことでは ないが 冬の古書市へ 出店している。
開催当日の 朝 百万遍の 境内へ いけば 臨川が どこに 出店しているかは すぐに わかる。そこだけ 店の回りを 客が ぐるっと 取り囲んでるからです。
臨川が いつ頃から この古書市に 参加しだしたかは 忘れたが、とにかく 出品する本が いい。
人文、社会科学書を 中心に、値付けが 市価と比べ 一桁 違う (例えば 5000円なら 500円とか)。ものによれば 二桁 違うのもある。
本の 状態も 悪くない。それに 専門書が 主なので 普通 見かけることの 少ない 書物が 多い。



これに はじめに 目を 付けたのが 会場向いの 大学の先生どもだ。*1
その買い方といったら すさまじい、というより エゲツナイの 一言です。
開店と 同時に 本の 前に 陣どって 30冊、50冊と (文庫では ありませんよ) 目ぼしいものを 数人で 囲い込んでしまう。
自分たちの 専門分野のもの どころか、市価の 高そうなものも 目ざとく かっさらっていく。なまじ 本の価値を 知ってるもんだから まあ たちが わるい。
20分ほどして 連中が 去った後 ときたら . . . 想像できるとは 思いますが、ハイ。
それだけでは すみません。
店側では 棚の 補充用として 別に 段ボール箱に 詰めた 本を 10数ケース 用意しています。
連中、他の店に 散ってますが、それとなく そいつに 注意している。
店の人が 段ボール箱に 手をかけると、いつのまにか 回りに 集まってきて . . . ここからは はじめのシーンに 戻ってください、エエ。
ハイエナ ? いえいえ それは ハイエナに 失礼です。彼らは 腐肉を 掃除してくれるんだから。



ここで、先生どもの とんでも(ない)語録 ↓
「この間 ○○先生の 記念論文集、一応 編集に 渡しといたんだけど、印刷が まだでねェ」
「君んとこの (ヨメさん)、新しい論文 提出したんだってネ」「まあ しがない トモカセギですよ (←ケンソン)」
あのね、ジマンばなしなら 他で やってくれる ?
「ここに (←店から少し離れた 地面) 積み上げてた ぼくの本、知らない ?」「まあ いいや、なかったと 思って あきらめるから」
それは 紛失した ということでは ? 金は 払ったんだろうね ?
「この間 (店の人に) いってやったんだよ。あんまり 売り値が 安いもんだから こんなに 混雑するんだって。今年は (少し 高めに つけてるから) ほら すいてるだろ ?」
一番の 原因は あんたらだろ !



最近では 先生ども ばかりか 助手や 留学生 それに セミプロまで 入り混じってきて さらに すごいことに。
というわけで、行くのが ちょっと 嫌になっていた。開催日を忘れた ということの 潜在的要因は おそらく これでしょうネ。



1966年 今から 40年前、サルトルが 日本に来ていて 京都で 講演を おこなっている。そこで 彼が 発言したのは、
「作家とは、自らの あるいは 他者の 体験の 延長線上にある 普遍性というものを、人が生きるということの 肯定 - つまり ニヒリズムの対極物 - として 作品に 表現することこそが その任務であり、この点で 資本主義社会において 支配階級からの 要求の実践を 自らの職務とすることに 矛盾を 感じざるを得ない 他の知識人とは 峻別されるのだ。これこそが 作家にとっての <自由> の 意味するところである」
ちょうど この頃に 先生たちは 高校/大学に 通っていたはずですネ。♪あのとき 君は 若かった、んだよね〜 (←イヤミですよ)



この 多量の 臨川が 出品した 書籍の コアとなったのは おそらく 上野精一、上野淳一 両氏の 蔵書でしょう。*2 店の人に 聞いたことは ないけど。
どちらも 大阪朝日新聞社の 社主だったし、精一氏のほうは ミルトンの『言論の自由』 (アレオパジティカ) を 訳されている。その関係で 著者、出版社からの 寄贈書も 多かったのではないか。(京大にある 上野文庫は 1950年代に 上野氏から 寄贈されたと 思うので、それ以後の分は 含まれては ないはず)。
他には、 大山定一氏の 蔵書や 同志社女子大学の 教育学教室からの 払い下げの本も 見かけました。
(こんなことに 興味をもつ人は ないと 思うが、覚え書きとして メモしておきます)


(追記) 今日 (1月20日) 古本屋で 見つけたので 即、購入 ↓
松浦直治著 『上野理一伝』 大阪朝日新聞社 59年刊
(本文だけで 797ページもある . . . )

*1:他の大学からも ?

*2:あるいは その縁故の