miscellanies

タイムシェアリングという 考え方がある。1959年頃 アイデアが生まれ、その後の コンピュータの発達に さまざまな影響を 与えた。UNIXマルチタスクなども その一つだろう。
もともとは ハードウェア側の 実行速度や 調整時間を どう効率的に adjust していくか、という 技術者側の要請から 考えられたものだ。
しかし、この概念自体 - 特に 日本では そうだが - 変質して 受け取られるようになった。
1974年、このタイムシェアリングを キーワードとして 電通に 巨大なスーパーコンピュータ ? が 導入された。本来の 時分割システムという 意味あいから 離れ、「コンピュータの共同利用」が 前面に 押し出されていた。GE が バックアップしていたようだ。
(実物が どんなものか、というと 横山光輝のマンガ「バビル二世」に でてくる マザーコンピュータを 想像してもらえれば。フロアを 何層か ブチ抜いて 設置されたはずです)
ここでいう「コンピュータの共同利用」は、実際には 一台の大型コンピュータを ケーブルで 遠隔地のターミナルと繋ぎ、データの蓄積や計算を 集中して 管理する方法である。現在、企業や 国の機関で サーバを中心に 構成された ネットワークの 原型となるものだろう。
すこし遅れて、当時の 電々公社でも 電話回線を利用した 同様のサービスを はじめたはずである。
この「疑似」タイムシェアリング自体は、その後 取り上げられることは ほとんどない。しかし、ターミナルから 入力させて サーバで 集中管理するという やり方は、企業や国の体質と 合致するものがある。そのため 日本で コンピュータの導入というと、ほぼ この方式で行うのが 通例となり 現在に 至っている。
事実、いわゆる 企業内ネットワークと 称するものは、ネットワークというより、巨大な stand_alone computer の 変形であるに すぎない。
では、ネットワーク分野での タイムシェアリングは 最初 どのように 構想されていたのか ? この場合、タイムシェアリングの 意味するものは Time & Data Sharing と いったほうが 明確になる。

1966年、私は リンカーン研究所の TX-2 と システムディベロップメント社の Q-32 という コンピュータの間で、ダイアル通信回路によって 1200bps のネットワーク (当時としては 最速) を 構築した。

それぞれのコンピュータは 時分割モードで 制御され、プログラムが ほかのコンピュータに ログインし、そのコンピュータの プログラムを 通常の サブルーチンコールのように 実行できた。

この実験で、コンピュータが ほかのコンピュータの 資源を利用しても 問題がないことが わかった。時分割オペレーションシステムによって、これが 容易になったのである。

(L.G. Roberts "The ARPANET and Computer Networks")

企業内ネットワークにおける データの蓄積 - 死蔵される可能性が 大きい - に 対立するものとして、インターネット上での データ保有は 不完全ながらも 成立する条件が 整いつつある。Web Archive Org. も その一つだろう。
今後、data sharing の もう一つの 構想である、ユーザ間の 双方向での プログラム実行システムを どう インターネット上で 成り立たせるかが、課題として 残されているのではないか、その技術的可能性の有無は 別にしても。

(note 1) ネット上で 電通に 大型コンピュータが 設置された '正確な' 年月を 調べてみたが、まったく 記録がない。(書籍だと、毎日新聞社が 発行していた コア・ブックスという シリーズの一冊に 書かれていたはずなんだが - 写真も 裏表紙に 載ってた 記憶がある) 判明したら、訂正しますので . . .
(note 2) 電通に GE の 大型コンピュータ GE 625 - 1965年製 36bit - が 設置されたのが 1967年。ただし、1973年に 開始された タイムシェアリングサービスに このコンピュータが 使われたか 否かは 不明 (<- 可能性は 大きいが)。
(同じ 600 シリーズで 後続の GE 655 というのが、お兄さんより 賢くて、MULTICS の 開発に 使われたらしい)
http://www.jconne.com/welcomegecda/