石切場(3)

祖母は結婚後も踊りの稽古を続けていた。神戸に師匠にあたる人がいて、ときには母をつれて通っていた。花柳流でもだいぶ上の人らしく兄弟弟子には歌舞伎の役者さんもいたとのことだ。
島でもときどき頼まれてこども達の稽古をつけていた。そんな時、母は後見としてくっついていた。
祖母は母に踊りの跡をつがせるつもりなどなかったが、いつもくっついてきてたので、一通り以上はできるようになったらしい。後年、母と二人で連獅子を踊るのが夢だったと語っている。
祖父といっしょになってしばらくして副業として家で小さな料理旅館をひらいた。わりとはやったらしい。祖母はただ玄関先で客を迎えてあいさつするだけである。のんびりしたものだ。