石切場(2)

石切場での仕事をこどもの頃の記憶をたどって書いてみよう。
まずどのくらいの大きさで切り出すかを考え、また崩れたときの衝撃をできるかぎり少なくすることも計算する。
そして見当がついたらそこに穴を穿ってマイトを仕込む。逃げる時間を見計らって導火線の長さを調整し点火する。
火薬が爆発し石の大きなかたまりがゴロンと切り出され - 作業中はこどもは近づけなかったので正確には再現できないが - ここから後はまた別の段取りになる。
危険な仕事なので、たまにけが人がでることがある。そんな時は運送用の石船をしたてて町まで運んだ。
祖父の現場ではけが人は少なかっただろうと思う。
他の石切場ではとにかく掘れるだけ掘りかえす、というところも少なくなかった。そのために地面に大きな穴があいて雨水で池ができたほどだ。当然地盤は弱くなり山が崩れる確率も大きい。事故も起きやすい。
祖父はそこまではしなかったし、また先を考えて手つかずの山を常に用意して仕事をすすめていた。