miscellanies

「住基システム」
office さんの掲示板 Tea Room for Conference を 見るようになったのは いつ頃か 気になって 調べてみると、おととしの 6月前後だった。
ちょうど その頃、しかPさんの 気になったネタのメモ(改) で れですもさんの話に たりきさんが 反応して、ある自治体の 住基システムの不備について 報告してきた。office さんも 早速 自分の page で とりあげていた。
今 考えると、セキュリティに たずさわってる人たちの 意見は、一貫して
住基問題以前に、システム構築自体*1が ダメなんだから、そこから 解決していかないと どうにもならない
という スタンスですね。
住民基本台帳ネットワーク」についての ぼくの考えは、次に引用する 武谷三男の文が 基本になっています。

日本の場合、コンピュータを使っての 国民総背番号制管理 (≒ 住基ネット) が 行なわれるとするなら 自治体が 利用されることになるだろう。

それゆえ 自治体業務の コンピュータ化には 非常に 不安を感じている。

これは ほぼ そのとおりになった。まず 自治体業務の コンピュータ化が 推進され、その上に 住基ネットが のっかかる かたちへと。

自治体の コンピュータ化は (国家の) 管理体制と 結びつく可能性がある限り、絶対に してはならないことである。

(なぜなら) コンピュータによって「民主的」な 人間関係が どんどん 失われていく (からである)。

もともと「民主的」という言葉は、人間が 多数いるところに、横の関係として 成立するものであった。

しかし コンピュータが 神様になり、最小限の人員が 神のご託宣に 忠実に 従うばかりとなると、ここに 超近代化された「タテ社会」が 出現することになる。

神様だ、というのは コンピュータの出したデータに まちがいはない、その誤差は 数%にすぎない、という アレですね。
タテ社会に関しては あとで 例をだしてみます。

(このような) コンピュータ化によって、社会の体制が 決定的に 崩壊していく。

それでなくても 民主主義の歴史が浅く、意識も希薄な 日本の社会である。

日本の民主主義が 完全に 形骸化してしまう 危険性は 充分に高い。

(武谷三男著「科学大予言」83年刊)

(この本が 出版されたのは、現在のように インターネットが 急速に 拡大されるより 以前のことです)

実例 その 1
ある企業で 全社的に システムが 切り替わったときのこと。
仕事で使う あるシステムに ログインしようとすると パスワードが無効になるので、システム課に 連絡をとった。
「以前の パスワードが 使えないけど ?」
「ああ、それ。 社員の意見を 採り入れて、ログインを 簡素化するため IDナンバーと 同じになるよう 変更したんだけど、それが なにか ?」
「それでは パスワードの意味が ないと思うよ」
「わたしに いわれても困るわね。 内部のシステムだから 問題ないじゃない。それに あなた 何の権限があって こちらに 直接 連絡してるの ?」
しかたないので、事情をわかってる 総務の女性に たのんで、こちらの希望する パスワードを 登録してもらった。
この会社の システム系統は システム課 → コンピュータ室 となっており、システム課は コンピュータ室を 管理する立場にある。
コンピュータ室の要員は 派遣されてきた 技術者で、実際の ネットワーク管理は こちらで行なう。
ネットを管理してる連中は パスワードの重要性は むろん承知してるはず。 ということは . . いえないんだろうね。

実例 その 2
ある小さな自治体で 業務データ入力用に コンピュータシステムを 導入することになった。
担当の課の 管理職が、システム導入のための カリキュラムへ 参加するため、半月間 出張扱いで システムの制作会社に出向 ← アゴアシつき というやつ。
システムが 稼働しはじめて、さて だれが 端末にはりつくのか というと、何のレクチュアも 受けていない 一般職員に オハチが まわってきた。 抵抗したけど 結局 おしつけられる。
担当の SE は こういう事情に 慣れているのか、彼女のための マニュアルを 作成してくれた。
そこには こんな魔法のコトバが . . .「OCR を かける ??」
システムが止まると SE と 2人、責任をかぶることになるので 必死に 操作を覚えた。
コンソール画面に向かって 打ちこむ作業のため、視力は 急速に落ち 肩が上がらなくなる。
退職して 数年たって ようやく 元の身体に戻ったそうです。

前の例は つい最近のことで、後者は ボチボチ 自治体で コンピュータの導入が はじまった頃の はなしです。

(注意) ホンの一部 粉飾してあります。たとえそっくりでも あなたの会社/役所のこととは 限りませんヨ。為念。


武谷さんのいう「コンピュータ化」とは こういう「閉じたネットワーク」のことです。

これは コ ワ イ。典型的な タテ社会で 下からの意見は まず通らない。 なんだか 外の世界では 通用しない「俺 ルール」も いっぱい ありそうだし。

住基システムは こういうクローズドな ネットの上に 乗っかった 国の管理システム、というわけです。

クローズドなシステムの上に クローズドなシステムが 乗っかった クローズドなシステム . . って 危険が 危ない みたい。

それと、システムが 巨大化すれば それだけ 危険度も 累進数的に増すというのは ある意味 常識だし。

こんなキュークツで しかも 本質的に危険なシステムは やはり 必要ないでしょう。


(追記) みんな わかってて いわないけど、住基システムといったって ネットワークに つながった 電子データベースにすぎません。 止めようと思えば 即 廃止できる。 ケーブル ひっこ抜いて、ハードから 記憶を 消去すれば おしまい。経費なんて (他の ハードウェアに 比較すれば) ほとんど かからない。機器は ほかのデータベース用に 転用すれば いいんだし。

*1:セキュリティ対策を含めて