神田忠仁氏「HPV の生活環境とワクチン〜次世代ワクチンの開発」(2010年 8月 27日 厚労省 第12回 予防接種部会)
厚生労働省 第12回 感染症分科会予防接種部会 (2010年 8月 27日) 議事録https://t.co/hJUjuxckzA
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
ヒトパピローマウイルスについて 参考人 : 神田忠仁氏
[memo] 理化学研究所 神田忠仁氏 提出資料 (スライド)「HPV の 生活環境とワクチン〜次世代ワクチンの開発」https://t.co/F9d8eUs4TQ (pdf ファイル)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月1日
「HPV ワクチンは、現在がんを予防できる夢のワクチンというふれ込みでいろいろ情報が出ておりますが、ウイルス学の立場からこのワクチンを科学的に説明したいと思います」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
HPV の生活環 (神田忠仁氏) pic.twitter.com/Iq1cE4URC3
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「HPV は、非常に変わった性格を持っています。図は生殖器の粘膜ですが、ウイルスは、小さな傷から基底細胞に感染します。基底細胞というのは表皮形成の幹になる細胞です」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「ここが基底膜で、その上の基底細胞がときどき分裂して、分裂するときには1つは基底細胞のまま残って、もう1つが表皮形成のために分化して、表面に上がっていき、3週間に1度ぐらい表面から垢になって落ちるというのが、表皮が維持されるメカニズムです」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「幹細胞というのは、分裂するときに全く同じものに分裂するのではなくて、片方が幹の細胞のまま残るという特徴があるわけです。HPV は基底細胞に感染して、核の中でゲノムのみが存在する形で潜伏します。つまり、この状態でウイルスは増えない」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「したがって、抗原が全くないので、ここで潜伏すると免疫系から完璧に逃れます。表皮形成の分化のために、感染細胞が分裂をすると、HPV のゲノムも一緒に増え、娘細胞に分配されるので、潜伏細胞はそのまま残ります」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「一方、分化していった感染細胞では、分化の終盤で、HPV は停止
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
している細胞のDNA合成系を活性化して、その機能を使ってウイルスとして増えます。この停止しているDNA合成系を活性化できる能力というのが、がん化と関わっているわけです」(神田忠仁氏)
「ここで増えるウイルスも非常に少ない。基底膜の外側でちょろっと増えるということで、免疫系から逃れているウイルスです」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
子宮全摘出手術を受けた女性からの HPV 検出 (神田忠仁氏) pic.twitter.com/ZfbIecLcEA
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「皆さんは、子宮頸部に感染するウイルスと思いがちですが、子宮頸部だけではなくて、女性の生殖器の粘膜のどこにでも感染します。これはアメリカのデータです」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「何らかの理由で子宮の全摘出手術を受けた人で、頸管部のない人でも、頸管部がちゃんとある普通の人でも、検出されるHPVには全く差がありません。つまり、HPV は頸管部以外のところに幅広く感染しています」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「もう1つ重要なことは、この状態、潜伏している状態では、臨床家が擦過細胞を回収しても検出は期待できません。ですから、HPVDNA が検出されれば感染があるという証拠になりますが、ネガティブというのは、残念ながら感染していない証拠とはなりません」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
HPV ワクチンの特徴 (神田忠仁氏) pic.twitter.com/pEYsidEWsD
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「もともとワクチンというのは、2度罹りなしという病気に使われる戦略です。つまり、1度はしかにかかると、もう2度とはしかにかからない」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「はしかにかかるということは、1度感染して、感染局所でちょっとウイルスが増えて、その次にそこから増えたウイルスが全身に回って増殖し、症状が出てきます。その後、免疫系が立ち上がってきて、体からウイルス
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
を完全に排除します」(神田忠仁氏)
「したがって、はしかに1度かかった人は、治ったときには体にもうは
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
しかウイルスはいません。その代わり免疫学的な記憶が残って、次に感染したときには最初の1次増殖の段階で免疫系が立ち上がってきて発症を防ぐ」(神田忠仁氏)
「つまり、はしかやインフルエンザのワクチンは感染は防げないが、発症を防ぐことができるというワクチンです。2度罹りなしと言われる理由です」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「ところが、HPV は感染すれば潜伏してしまいます。ですから、基本的戦略として、最初の感染そのものを防がなければいけない。HPV ワクチンは非常にチャレンジングな、新しいコンセプトのワクチンです」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「今どういうふうに説明されているかというと、筋肉に3回抗原を打つと、血清中に高い力価の中和抗体が出てきて、それが女性の生殖器の粘膜に常時染み出していて、ウイルスが性行為で感染してくると、そこで止めるという考え方です」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「そういうふうに説明されていますが、実際に、血中にどのくらいの抗体
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
価があれば、染み出ていって完全に感染を防げるのか」(神田忠仁氏)
「あるいは女の子に打って、その子がだんだん成熟していって、かなりおばちゃんになっても、同じように血中の抗体価と並行して粘膜上抗体が出るのかは、データは全くありません」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「したがって、いま申し上げたのは、このワクチンは、はしかのワクチンとか、いままでうまくいっているワクチンと同じように、『ワクチン』という言葉で括ってはまずい」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「新しい概念のワクチンである。その効き方に関して、かなり不明な点が残っていますし、まだ効果の継続性に関しては、データがないというのが実情と私は思っております」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
HPV 遺伝子型 (神田忠仁氏) pic.twitter.com/kJXy74Go1z
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「もう1つは、いろいろな遺伝子型があるということです。HPVは現在100以上、200と言う人もいますが、見つかっています。大体6割が皮膚から、4割が粘膜から取られています」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「粘膜から取られたうちの15種類ががんに見つかるので、発がん性のタイプというふうに呼ばれています。遺伝子の塩基配列の相同性で型に分けています」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「どんな型がいるかというのは、これは先ほど今野 (良) 先生が、『最新の----』とおっしゃって示しましたが、あのデータはメソードとしては最も古いメソードを使っているので、パブリケーションが新しいだけで最新のデータではないと思います」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
我が国の女性患者から見つかる HPV DNA (神田忠仁氏) pic.twitter.com/yBs9x0E3FU
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
我が国に流行している HPV 遺伝子型の調査 (神田忠仁氏) pic.twitter.com/FuQNSgeq7x
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「私がいまいちばん信用しているこの国のデータでは、琉球大学から出てきたデータですが、16型が多く、18型は残念なことにこの国ではあまり多くなくて、30番台、50番台が多いということが示されています」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「実を言うと、どんなHPV型が流行しているかは、WHOも含めて関心事です。感染研のラボは、いまWHOのHPVの国際的なラボラトリーの1つとして機能していますが、WHOが推薦している方法を使っています」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「昔の方法は、いろいろな型のHPVのゲノムに共通の部分を見つけ、そこに付くプライマーをセットして、PCR を行います。つまり、ワンペアのプライマーで増やし、増えた中身が微妙に違っているので、その差で何型か判定するやり方です」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「WHOがいま推薦しているやり方は、いろいろな型にそれぞれ特異的に付くように設計した特異的なプライマーのカクテルを使ってHPVDNAを増やし、増えたDNAを型特異的プローブとのハイブリダーゼーションで何型か決めるという方法です」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「この方法を使って、これは我々のデータですが、病院を訪れた健常人を含む日本人の女性の頸管部の擦過細胞からDNAを取って調べると、いろいろな型が出てきます。疾患との関係はいまのところ解析していません」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「ただ、いろいろな型が出てくるというだけですが、非常に重要なのは、
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
30%ぐらいが複数のHPV型に感染していることです。複数のHPV型に感染している状況を検出できる方法というのは、この方法が出てくるまで存在しませんでした」(神田忠仁氏)
従来の HPV DNA 検出法は、複数の HPV 型を含む試料での感度と特異性が低い (神田忠仁氏) pic.twitter.com/M4tp4fKKfM
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「これは、先ほど今野先生がお示しになった『16、18型が約7割』というデータを出していた論文で使われている古い検出方法です」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「先ほど申し上げた1種類のプライマーセットを使って検出します。これは臨床検体ですが、複数の感染がある場合、例えば、16型、18型、31型の感染がある場合には、この方法を使うと18型と判定されます」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「我々はリアルタイムでコピー数を測っていますが、16型に混じって大体10分の1ぐらい18型があると、干渉が起きて18型になってしまいました。あるいは複数の型が存在すると、検出の感度がものすごく悪くなります」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「要するに、従来のこの国の子宮頸管部の病変に見つかるというタイピグのデータというのは、こういう方法で調べられていたので、はっきり言って、これから本気に調べ直さなければいけないという状態だと思っております」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「実際、先ほど琉球大学の先生のデータを示しましたが、おそらく16型と18型を足して、半分ぐらいがこの国の実情だろうというふうに感じています」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「つまり、非常にチャレンジングなワクチンであるということと、いまワクチンの標的となっている型は、必ずしもいま言われているほどの頻度で、この国の子宮頸がんにはないのではないかという問題があります」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
HPV ワクチン抗原 (神田忠仁氏) pic.twitter.com/8QXkesLYn5
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「HPV キャプシドは、L1という主たる構造蛋白質のみでできる正20面体の粒子、VLP、にL2というマイナーなコンポーネントが入った格好をしています。いまのワクチン抗原は、VLP です。我々は、このL2部分に注目しています」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
ウサギ 抗 VCP 血清の中和特異性 (神田忠仁氏) pic.twitter.com/Ty6OWtEfFA
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「先ほどクロスプロテクションの話が出てきましたが、実験的に16型、18型、31型、52型、58型のVLPをウサギに免疫して得た抗血清は、きれいにクロスのないホモの型にだけ反応します」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「クロスプロテクションに関しては、データとしてある以上、なにがしかの未知のメカニズムがあるのだろうと思っています。しかし、実験的には、非常にきれいな、型特異的な免疫応答を誘導します」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
HPV L2 表面領域のアミノ酸配列 (神田忠仁氏) pic.twitter.com/MTSGkZ7uFo
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「我々は、先ほどのL2のキャプシド表面の領域に中和エピトープがあることを見つけました。図は、この部分のアミノ酸の配列です。アミノ酸の配列がものすごくよく似ているので、これをワクチン抗原に使えば、すべてのタイプの感染を防げる可能性があります」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
次世代ワクチンの開発 (神田忠仁氏) pic.twitter.com/wHmdQKi1iE
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「現在我々が試作したワクチン抗原でウサギに誘導される抗体は、これは厚生労働科学研究費をベースにしている仕事ですが、16型、18型、31型、33型、35型、51型、52型、58型の感染を防ぐことを確認しています」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「アミノ酸の配列の相同性から、おそらく全部、さらにローリスク型も含めて粘膜型全部に効くのではないかと考えて開発を進めています」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
HPV ワクチンの現状 (神田忠仁氏) pic.twitter.com/Dayygdc639
— seki_yo (@seki_yo) 2018年7月2日
「スライドは、ウイルス学者の立場から見たいまのHPVワクチンの現状です。6型、11型、16型、18型のVLPワクチンは、副作用はなくて中和抗体を効率よく誘導して、現在までの臨床試験でCIN2、3病変の予防効果を示しています」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「しかし、先ほど申し上げたように、このワクチンは新しいコンセプトのワクチンです。いままでにない全く新しいタイプのワクチンで、長期間にわたって感染を防ぐのに必要な抗体のレベルもまだわからないのです」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「ですから、先ほど今野先生も示しておられましたが、ブースターが必要なのか、3回接種が本当に要るのか、これはまだわからない」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「このワクチンが入ったら、フォローアップをちゃんとやって、どんな抗体の推移があるのか、実際、プロテクションはどういうふうにかかるのかというデータを取る必要があると思っております」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
「もう1つ、いまのワクチンの最大の問題は、型特異性が異常に高く、少なくとも15種類ある、もう少しあるのかもしれませんが、発がん性を持ったHPVすべてに対応するワクチンを考える必要があると思います。以上です」(神田忠仁氏)
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日
神田忠仁氏「ウイルスが原因となるがん〜子宮頸がんの発症と予防」(2010年 10月 9日)https://t.co/OSHKU33bAO
— seki_yo (@seki_yo) 2018年6月7日