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[小倉志郎] "沸騰水型 原子力発電所 BWR の 基本的システム" (11年 10月 4日)
Ustream の 録画から 文字に 起こしてみました (ひとまず 最初の 20分だけ)。
http://www.ustream.tv/recorded/17672050 (video - 1 hr 10 min)
解説で 使われてる BWR 概略フローシートは こちら、
http://www.scribd.com/doc/67577310/BWR-Flowchart (pdf file)


今、スクリーンに 福島第一原発 2号炉の システムの 概略フローシートと いうのが でています。 この フローシートは 一番 基本的な システム、原発を 構成する 基本的な システムを 表しています。

この 基本的な システムの 中には 原子炉を 取りまく 原子炉系の システム、この 真ん中から 左側の システム、これが 原子炉系。
それから 真ん中から 右側の システム、これが タービン系です。
それから この下に 海水を 供給する そういう システムが ありますが、これは サービス系の 一部に なっています。 サービス系と いうのは 両建屋の 中にも 冷却系とか あるいは 補給水系とか いろいろな 系統が 含まれています。
その他に この 図には 出ていませんけど 放射性廃棄物処理システムと いうのが あります。
ですから 原子炉系、タービン系、サービス系 それから 放射性廃棄物処理系という こういう 大きく 分けて 主要な システムは 4種類 あると いうことになります。
今日は その中で 原子炉型、その 一つ一つの システムについて 説明を していきたいと 思います。 まず 大ざっぱに どんな 原子炉系の システムが あるかを お話しします。

原子炉は ここに 少し ピンク色で 描いたものです。 原子炉圧力容器と 書いてあります。
そして その 原子炉圧力容器を 囲む かたちで 原子炉格納容器と いうのが あります。 これも 容器では ありますけども 一つの 原子炉を 守る システムに なっています。

それから 原子炉の 中には 核燃料が ありますが その 使い終わった 核燃料を 貯蔵する 使用済燃料プール、貯蔵プールというのが ありまして、この プールの 中の 使用済燃料を 冷却し そして また その 冷却した 水を きれいに 保つ 燃料プール冷却浄化系、この プールも 含んで これ 全体が 一つの システムに なっている。
それから ここに 原子炉水浄化系と いうのが あります。 これは 原子炉の 運転中に 原子炉の 中の 冷却剤 すなわち 水ですね、これを 常に きれいな 状態に 保っておくための システムです。

これは 原子炉の 中から 取り出した 水を ポンプで 熱交換器を 通し、その次に フィルターとか イオン交換樹脂なんかが 入った 脱塩器を 通して きれいにします。
そして その 水を 原子炉に 戻す 前に ここに 再生熱交換器と いうのが ありまして、原子炉から 抜いてきた ホットな 熱い 水で ろ過脱塩器を 通ってきた 水に 熱を 渡して、原子炉に 戻るときに 温度が また 高温に なるような 状態に し 給水ラインに 合流させて 原子炉に 戻す。 これは 原子炉の 運転中、常に 運転しているという 常用系の システムです。
それから 原子炉の 下のところに 制御棒駆動装置と いうのが あります。 制御棒駆動装置と いうのは この 中の 制御棒を 動かす 装置で これは ピストンと シリンダーで できてまして ここに 高圧の 水が 供給されます。 ピストンを 動かすためです。
その 高圧の 水を 供給するのが ここに あります 制御棒コントロールシステム、かな? ... 要するに 制御棒を 動かす ピストン/シリンダーに 高圧の 水を 供給する ポンプ、そういうものから なっている システムが あります。

この 水源は 復水貯蔵タンクに なっていて この 復水貯蔵タンクと いうのは タービンの 方の 復水器から 使ったものが 補充されるような かたちに なっている。 タービンの 復水器が ありますけど、ここでもって 少しずつ 圧力を かけるんですが そのとき 使った 少量は そちらから 補給する、そういうような システムです。

それから この 原子炉と いうのは 核反応を 止める 装置が この 制御棒の ほかに もう 一つ あります。 それは 制御棒とは また 別の 方式で 核反応を 止めることに なっています。 要するに 2種類の 違った 方法で 核反応を 止めると いうのが 設計条件に なっています。
それが ここに あります ホウ酸水注入系と いうもので、ここに 水を 貯めておきまして もし 制御棒が 使えないときには この ポンプ、高圧ポンプでもって 原子炉の 中に ホウ酸水を 注入し その ホウ酸で 中性子を 吸収して 核反応を 止める。

これも 非常用の システムですね。 ですから こちらの 浄化系や 燃料プール浄化系とは 違って 普段は 運転していません、これは。 緊急時、非常用の ときだけしか 使いません。 うっかりと ホウ酸水が 原子炉の 中に 漏れ込んでしまうと 大変なことに なります。 この 原子炉が 運転できなく なっちゃいますから。
ここの バルブは 普通の バルブと 違って -- 普通の バルブですと シートが あって 弁座に その シートが 当たって 押さえつけて 止めるんですが -- この バルブでは 完全に 構造的に 遮断するように 板でもって 絶対に ホウ酸水が 入らないように なってて いざと いうときには これを 火薬でもって 爆発させて その 板を 突き破る、そういう 爆発弁と 称するものが 使われてます。 ですから 本当に 最後の 最後に 使う システムです。
それから 残りの システムは ここに たくさん あります。 これらは 原子炉の 冷却に 使う そういう システムです。

ここに RHR 系、残留熱除去系と いうのが あるんですが この 残留熱除去系と いうのは いろんな 機能が あり、一つは 緊急時では ないんですが 原子炉の 定常運転、普段の 発電を 例えば 定期検査のために 原子炉を 停止していくときに 急いで 冷やすことが できない、ゆっくり 原子炉を 冷やしていく わけですけど その時に 使う システムです。 原子炉は 発電所が 100% 出力で 運転しているときには 核反応が 100% 行われていて 蒸気も 100% 出力に 必要な 流量が どんどん 流れているわけですけど、原子炉を 停止するときは 電気出力 それから 熱出力 そういうものを 徐々に 下げていきまして 核反応を だんだん 少なくしていって そして 最後に 発電を 止めます。
止めた 後でも 原子炉の 中は 崩壊熱と いうんですが 要するに ウラニウムが 分裂して できる 分裂生成物の 崩壊熱によって 発熱してますから これを 冷やさなければ ならない。 その 冷やし方は 最初の 段階としては ここの バイパスラインを 通りまして 復水器で 冷やします。 タービンは 発電してませんから 通しません。 バイパスラインでもって 復水器の 方へ 蒸気を 逃して そして 海水で 冷やしていく。
そして ある程度、温度圧力が 下がった 段階で この 残留熱除去系というものを 生かして 最終的に 原子炉の 中の 水を 常温に もっていきます。
(常温って 何度ぐらい?)
基本的には 30度が 常温ですけど 100度以下ならば 水は 沸騰を 止めますから よく 冷温停止だとか いいます。 しかし 定期検査では この フタを 開けて 作業するわけですから 100度とか 90度では 作業が できません。 だから 一応 30度前後の 常温に もっていって フタを 開けて 燃料プールと 水が つながるような 状態にして 交換作業を するわけです。
そして、この RHR 系というのは 熱交換器が 2つ あり その 冷却側の 水は 海水です。 海から 水を もち込んで 原子炉水を 冷やす。 だから 海水ポンプも 動いてないと いけませんし、原子炉の 水を 熱交換器を 通して 原子炉に 戻し また 回すために ポンプが いるんです。 これが 残留熱除去系ポンプ、略して RHR ポンプと 呼んでますけど これが 4台 あります。
それが RHR 系システムの 一つの 使い方です。
その 他に RHR 系統には 原子炉に つながる 大きな 配管が 破断して 原子炉冷却材喪失事故が 起きたときに 原子炉に 水を 供給する そういう 働きが あります。
もう 一つ、原子炉から 格納容器の 中に 高温高圧の 水が 漏れて 格納容器の 中が 水蒸気で いっぱいに なったとき、RHR 系から 水を 格納容器の 中に スプレーで 噴射して この中の 蒸気を 凝縮させる そういう 働きも あります。
その 他に ここの 圧力抑制室の 中に 普段、約半分くらいの 容積の ところに 冷水を ためているわけです、常温の 水ですけど。 この 水の 温度が 高くなったとき これを 冷やすためにも この システムが 使われる。
だから この RHR 系は 非常に 多目的に 使われる。 もう 一つ 用途が あるんですが、これは 後で お話しします。
この他に 原子炉の 冷却材喪失事故、それに 非常に 重要なのが ここに 炉心スプレー系というのが あります。 これは 2系統 ありまして 2台の ポンプが あって 水源が 圧力抑制室の 水、そして 行き先は 原子炉の 炉心、燃料の 真上の ところに リング状の スプレースパージャーというのが あり そこから 燃料に 直接、水を かける。 これは 炉心の 水位が 保てなくなり 燃料が 露出してしまう かなり 大きな 配管が 破断したとき、炉心を 直接 スプレーでもって 冷やせると いうことで 非常に 重要な システムです。

それから もう 一つ 安全系が あります。 これは 高圧注水系と いい、HPCI 系とも いわれます。 これは 原子炉に つながる 小さな 配管が 破れたとき -- 冷却材喪失事故では あるんですが しかし 破れた 箇所の 穴が 小さいために 水は どんどん 出ていくんだけども 原子炉の 圧力が なかなか 下がらない -- そういった時に 原子炉の 圧力よりも さらに 高い 圧力の ポンプでもって 冷却水を 原子炉の 中に 注入してやる そういう システムです。
これの 第一の 水源は やはり 復水貯蔵タンク。 ここから 正常な 水を 原子炉の 中に 出す。 原子炉に 入れるには ここの 給水ラインに 合流させる かたちで いきます。 ですから 原子炉の 中の 給水スパージャーから 入っていく。
ポンプを 回す 動力としまして 原子炉の 蒸気を 主蒸気配管から 分岐した ラインを 通して ここの タービンに おくり、その 蒸気タービンで ポンプを 回すと いうことに なっています。 そして その 排気ですね、タービンを 通り抜けた 蒸気は サプレッションプール、圧力抑制室の 方に 入る。 ですから これは 電源が なくても この ポンプは 運転できる、高圧注水系と いうのは。 この システムは 電源が 使えないときにも 使えると いうことで 他に 動力を 要求しないと いう ある 意味では 非常に 信頼性が あるわけです。
もちろん タービンですから 電動機と 違い 回転数が 変動しやすい。 したがって 回転数を 制御するための いわゆる 制御電源と いうのが いるんです。 流量と 回転数を 監視していて 要求する 流量より 少なくなった 時には 蒸気の 流量を 増やす、そして 回転数を 上げるような そういう 制御が 必要なんで、したがって その 制御には 非常用の 電源 -- バッテリーですね -- 直流の 電源を 必要とする。 だから バッテリーが 生きてないと この 系統は 使えない、そういう 弱点も あるわけです。


(つけたし) 中身が ぎっしり 詰まってる。 思いつきで やるんじゃ なかった ... oLr