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[後藤政志] "原発に 完全に 安全な システムは ない" (2月 19日)
(video - 2 hr 10 min)
(http://gotomasashi.blogspot.com/2012/02/blog-post_20.html)
(参考) 渡辺敦雄 「原子力発電所の 安全設計の 設計指針には 共通故障モードは 含まれていない (単一故障モードのみ)」

どのくらい この システムが 違うかと いうことを、わかりやすく お金で 説明すると こうなる。

火力発電所の 例でいうと この ボイラー系が 約400億円ぐらい。 もちろん これは 場所によっても 違いますし 大きさによっても 違うんだが、だいたいの イメージで とらえて、100万キロワットの 火力発電所原子力発電所と いうことで、火力発電所の ボイラーまわりで 400億円、タービンのほうも だいたい 同じくらいで 400億円ぐらいですね、合計 800億円。

では 原子力は どのくらいで あるか。 (ボイラー系で) 3000億円ぐらい、約 10倍。 こちらも 約 2倍くらいで タービン系は 約 1000億円ぐらい。 両方 合わせて 約 4000億 あるいは 5000億円ぐらいと いわれている。

そして -- ここが ポイントなんですが -- 原子炉の 中で、こういった 地震なんかが あった 場合、止めて 炉心の 中に 水を 入れる 装置、これを 緊急炉心冷却系と いうのですが、今回 これが 動かなかったんで 問題に なったんです。

わたしが 1971年に 東芝に 入ったときに センパイから こう いわれました。

「渡辺、緊急炉心冷却系が 動くような 事態に なったら、おまえ、終わりだと 思えよ。 もう 原子力 終わりだよ」

今回、動くはずのものが 動かなかった。 だけど、これが 動くという 事態は 原子力発電所の 設計者としては 挫折である、つまり 失敗してるわけです、運転に。 でも そういう 設計を するんだと いうことで、(その) 基本設計を 想像してもらいます。

で、この 緊急炉心冷却系が さっきの 3000億円の 中で どのくらいか。 2500億円ぐらいです。 つまり 一生に 一度も 使ってはならないような 装置に 膨大な お金が かかる。 正直にいって そのぐらい がんばって やってます、原子力の 設計者は。

しかし 今回は (工学的な 共通故障モードが その 安全設計には 含まれてなかったが故に) 動かなかった ...

(11年 5月 23日 講演会)