読書ノート

[Rosa Luxemburg]
経済学入門

ここで (ヨーロッパによる) アメリカ発見後、19世紀初頭まで スペインの 植民地であった 中央アメリカ および 南アメリカ、その 自然に めぐまれた 熱帯地帯、暑い 気候の もと 肥沃な 土地を もち バナナを 住民の 主食とする これらの 地方に しばらく 目を 向けてみよう。

フンボルトは 書いている、

「私は、こんな 狭い 土地に これほど 豊かな 量の 食物 (= 果実) を 算出する 植物が、この 地上で 他に あるとは 思えない」(『新スペイン王国の政治状態に関する試論』 1811年)

フォン・フンボルトは 次のように (比較) 計算する、

「この 特別 豊かな 土地では、原則的には、多産品種の バナナ (プラタノ・アートン) を 半ヘクタール (の 畑に) 植え付けることで、50人を 越える 人々を 養うことが できる。

これに 反し、ヨーロッパでは 同じ 面積の 土地で (その 8倍の 穀物が 収穫できるとして) わずかに 576kg の 小麦粉、つまり (年間) 2人分の 食糧にも 足らない 量しか 産出しない。

(こうした) 事実を 認めるのは 非常に 奇妙なことだ」

フンボルトは さらに 続ける、

「[スペインの] 植民地、コンディエラ山脈の ふもと、ベラクルス、バヤドリ あるいは グアダラハラの 湿潤な 谷間では、1人の 人間が 1週間に わずか 2日間だけ 労働の 苦役に 従事することで、(彼の) 家族 すべてを 養うことが できる」

ここでは 労働生産性 (の 高さ) が、それ自体として 搾取の 十分 可能なことは 明らかであり、そして 生粋の 資本主義的精神の 持ち主である マルサスのごとき (ブルジョアジーの) 学者は、この 地上の楽園について 述べるとき、涙さえ うかべて こう 叫ぶ、

「なんという 巨大な、無限の 富を 産みだす 手段だろうか!」(『経済学原理』 1820年)

それは、(あからさまに) いい方を 変えれば、意欲的な 企業家が こうした 怠け者たちを (賃金奴隷として) 働かせることが できれば、どれほど 多くの 金が その 労働から 引き出すことが できるか、と いうことなのだ。

賃労働 (1)