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[福井県 県議会 全員協議会] "関西電力 大飯原子力発電所 3、4号機 再稼働について" (6月 14日)
県議会議員 細川かをりさんの 発言を 書き起こしてみました。
http://www.ustream.tv/recorded/23297566 (video - 2 hr 18 sec)
50分過ぎから 始まります。

細川かをりです。 昨日、近所の方から 電話を いただきました。

「おい、がんばって 反対せえよ。 あれは アカン。 火が 出たら 水を かけたら 消えるけど、放射能は どうにもならん。 避難訓練たって、逃げたら 最後 帰ってこれんかもしれん。 人は 自然には 絶対 勝てんのや」

その 力強い 声に 背中を 押された 気分で 今 ここに おります。

私の 周囲では 世論調査以上に 再稼働反対の 声を 大いに 感じています。

では まず 原発再稼働の 大前提である 安全の、特に 地震への 備えについて 思うところを 述べます。

野田首相は 「福島を 襲ったような 地震津波が 起こっても 事故を 防止できる 対策と 体制は 整っている」 と 先の 記者会見で 述べました。

3月の 県原子力環境安全管理協議会の 席上で この 福島のような 地震という 言葉の 意味するところを うかがったところ、保安院として 基準地震動の 1.1倍と 比較して 大丈夫と 評価していると 回答されました。

福島を 襲ったような 地震を 基準地震動の 1.1倍と するとは なんと 甘い 話でしょう。

東日本大震災は 今から 1100年前の 貞観地震津波の 再来だと いわれていますが 国史によると 貞観地震の 前後 約30年間では 天変地異が 連続的に 起きています。

山新潟大地震で いくつかの 小島が 崩壊、富士山が 噴火し 溶岩が 流れ込み 青木ヶ原樹海、西湖、精進湖を 形成、阿蘇山噴火、鶴見岳噴火、阿蘇山再噴火、兵庫県西部大地震、摂津地震 そして 貞観地震

その後も 熊本で 暴風雨災害と 同時の 地震津波鳥海山噴火、開門岳噴火、関東大地震、島根大地震、京都で 地震貞観地震級の 南海地震、再び 京都地震と 続いています。 まさに 大地動乱です。

貞観地震と 今の 日本の 状況を 比べるなら まだ この先 火山爆発と ともに いつどこで 大地震が 起きるか わからないと いうことです。

国は 東日本大震災地震の 想定外の 断層スベリ量を 海溝型地震に 限定した 新知見とし 若狭湾近くには 大地震を 起こすような プレート境界は ない、だから 若狭湾での 大きな 地震は 想像しがたいなどと 述べています。

しかし 耐震バックチェックを 行なっていても なお 想定外を くり返している 今日までの 事実の 反省に 立つならば 歴史が 示す 直下型の 地震の 危険性に 関しても しっかり 備えなければ ならないはずです。

私は 9月議会で これまで 想定外の 地震原発を 襲っているのに その 想定 つまり 安全基準を 見直さずにいた 国や 専門家に 憤りを 覚える、想定外という 言葉を 免責の キーワードにして 安全対策を 切り捨ててきた 専門家の 罪は 重い、ストレステストは 想定外に どれだけ 耐えられるかと いうものだが 国が まず やるべきことは この 甘かった 想定を 見直し 改めること、国連も 事故の 教訓は 想定が 甘すぎたことを 指摘している、と 述べました。

しかしながら 大飯原発の 基準地震動は 3.11 以前も 今も 700ガルのままです。 これは 原発近くの FOB、FOA断層と 熊川断層を 2連動 35キロと 見積もるか、3連動 63キロと 見積もるかという 議論が かかわってきます。

3月 12日までの 国の 活断層関係の 意見聴取会では 事業者は 3連動しないと 主張し 委員は セグメント つまり 区切りは あるが 小浜湾内の 短い 活断層に ステップして 連動することも 考慮しなければならない、つまり 3連動を 考慮するべきと 主張されました。

その後 3月 28日の 意見聴取会で 保安院FOB、FOA断層と 熊井については 念のために 連動した 地震動評価 760ガルが 事業者より 示され 保安院が 妥当と 判断したと 報告しました。

今回、福井県原子力安全専門委員会が 提出した 報告には これら 活断層の 連動性に 関して 意見聴取会が 地質構造的に つながるものでなく 連動を 考慮する 必要は ないことを 確認したと 書かれていますが、前段は 委員の 確認は ありましたが 後段の 連動を 考慮する 必要が ないと 判断したのは 会議を リードしている 保安院であって 委員では ないはずです。

また 制御棒の 挿入時間に 関しても これまで 評価値 2.16秒と されていたものが いつのまにか 1.88秒に 切り下がりました。 これは 保安院が 関電から 口答で 聞いただけの 数値で 正式に 報告された ものでないと 認めています。

要するに 保安院活断層を 関電の 主張する 2連動という 小さい 見積りを 採用し 県の 専門委員会は 関電の 言いなりで 制御棒挿入時間を 確認したに すぎないと いうことです。

さらに 先月、市民から 指摘を 受けて 行なった 追加確認では 関電は 活断層の 3連動を 考慮した 地震動は 基準地震動の 1.4倍程度 つまり 980ガルに なるとし、しかし これは ストレステストで 確認した 限界値 1.8倍以内に 収まるので 問題ないと 述べています。

980ガルの 条件では 制御棒挿入時間が 評価基準値の 2.2秒を 明らかに 越える 計算に なりますが、それでも 余裕のうちに 収まり 限界値は 越えないから 大丈夫という 旨の 報告を 行なっています。

この 考え方を 私流に 例えると、この お饅頭の 賞味期限は 過ぎているけど 腐るまでには 至らないので まだ 食べられますと いってるようなものです。 市民活動グループは 崖っぷちまで 導く 考え方だとして こんな 絵で 表しています。 私も やっと この 絵の 意味が わかってきました、危険です。

福島の 原発避難の 際、国は 念のため 3キロ以上の 住民は 避難、10キロ圏内は 屋内退避、放射能は 漏れてませんと いい、翌日は 万全を 期して 10キロも 避難、適切に 情報を お伝えしますと いい、さらに 念のため 万全を 期し 避難を 20キロに 拡大したと いいました。

国の いう 念のためとは こんな 程度です。 しっかりと 活断層 3連動を 考慮し 980ガル以上に 基準地震動を 引き上げ 改めて 耐震評価を し直すことが 必要です。

今の 状況では 地震に 対する 想定が 甘く 安全だと 納得することは できません。

直下型地震を 甘く みては いけません。 柏崎刈羽原発は 2000ガル以上の 地震動に 見舞われているし 宮城岩手内陸地震活断層が 確認されて いなかった ところで 4022ガルの 地震が ありました。

大飯原発は 基準地震動が 700ガルを 越えたら 想定外です。

次に 責任について 述べます。 知事は 現地視察を 行ない 専門委員会も 報告書に 沿った 対応は できていると 評価されました。

専門委員会の 位置づけは 原子炉の 稼動を 定義するような 委員会では ない、防災対策は 取り扱っていない、原子炉の 科学的技術的な 観点からの 安全性の 検証という 限定的な 議論だと 委員長は 述べました。 また 他の 委員は 今回の 結論は 絶対的な ものでないと 述べています。 総合的な 安全を 確認したものでは ないと いうことです。

科学的技術的に 安全だから 大丈夫だと するのは 新たな 安全神話の 始まりに ならないでしょうか。

この 専門委員会は 国と 事業者の 出してきた データを 確認しただけで 結局 たどっていけば その 科学的技術的検証は 事業者の データや 見解、保安院の 判断に よるものです。

いったい 誰が 安全の お墨付きを 出し ハンコを ついてくれるのでしょうか。 県は どこまで 責任を 負うのでしょうか。 また もし 再稼働して 万が一のことが あったとき 誰が どう 責任を とるのでしょうか。

福島事故後の ようすからは 担当者は 配置換え、保安院という 組織は 消え失せる 予定、保安院院長は 割り増し退職金を もって 退職、内閣は 交代、事業者社長も 会長も 他へ 移り、被災者は 未だに きびしい 生活を 強いられています。

国策だと いいながら こういう やり方が 国の 落とし前の つけ方なんでしょうか。 だったら 納得も 理解も できません。

東海村の 村上村長は 自惚れ、技術に 対しての 過信、目先の 利益のため その場しのぎに 都合のいい 基準を つくる、この 国は 巨大科学技術を ものにする 能力は もっていても 安全に コントロールしていく 社会的システムは できていないと 語っていました。 私も つくづく そう 思います。

原発事故は あまりにも リスクが 大きく 多くの 国民の 生活権が おびやかされることです。 現状の 安全保障では 再稼働するべきでは ありません。

国の やるべきは 福島のことを 反省し 責任を 取り 大地動乱の 今の 国の 状況に 備え 安全な 電源の 確保とともに 大転換へ 国民の 協力を 求めることだと 思います。

ちなみに 原発再稼働の 理由として 夏場の 電力不足が 述べられています。 電力供給に 関しては 足りる、足りない、努力が 足りないなど 諸説 ありますが、大阪市エネルギー戦略会議で 関電幹部は 再稼働の 理由は 夏の 電力不足とは 別に あると 明言されています。 また 東電は 原発事故以降 オール電化住宅の 新規営業を 中止したのに 対し 関電は 販売促進を 続け 関電管内で 7万戸 増加、電力需要を 拡大させています。 推して 知るべしです。

私の 住む 越前市の 市議会では 全会一致で 拙速な 再稼働に 反対しています。 「原発を 考える 福井県女子議員の 会」 も 罪なき 子どもにまで 被曝させ 食の 安全を おびやかしている 現状で 再稼働には 反対しています。

一点、最後に こうした 原子力行政に 関する 市町の 声や 県民の 声を 県は どのように とらえてこられたのか、また 今後 パブリックコメントを 募集したり 市町との 協議の場を 設けたりする 見通しを おうかがいし 私の 意見表明を 終わります。

福井県 原子力安全専門委員会 報告書 (6月 11日)
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/report2012.pdf (pdf file)
第74回 専門委員会 議事概要 (6月 10日)
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/dai74kai/giji.pdf (pdf file)
(via http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/index.html)