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[東京原発] "榎本教授 ゼミナール" (その 2)
続きです ...


都市計画局長: だって、もう 日本の 電力の 3分の1は 原子力で まかなってるって、テレビで バンバン 宣伝してるじゃないですか?
榎本教授: 確かに うまい 宣伝です。
環境局長: うまい 宣伝?
榎本教授: 原子力発電というのは、出力を 変えると 非常に 危険性が 高いので、電気の 供給を 調整できません。
ですから、需要が あろうが なかろうが、毎日 朝から 夜中まで アホみたいに フル稼働を せざるを 得ないと いうことを、まず 知っておいてください。
その 原発に 対して 火力や 水力は、発電能力の 約 2割から 4割しか 稼働しておりません。 たっぷり 余力が あるわけです。
結論を 申しますと、日本中の 原発を 廃止しても、電気の 消費量が ピークになる 真夏の 数日間だけ、冷房の 温度を 少しだけ ガマンすれば、他の 発電だけで 十分に まかなえます。
環境局長: 私たちは 原発が なくなったら 停電に なるって、暗に 脅かされていたわけね。
政策報道局長: でも、将来 石油は なくなるんでしょ? 火力発電は、
財務局長: そうだよ、それそれ。 石油は なくなるんだよ!

榎本教授: 石油は あと 40年、ウランは 70年とか いわれとりますが、使えば なくなるのは いっしょなわけで、エネルギー資源の 将来性ということで いえば、どちらも そう 安心できる 量とは いえませんね。
都市計画局長: そういえば、オイルショックのときに 石油は あと 30年で なくなるって 騒いでましたよね。
政策報道局長: もう 30年 たってるけど。
都市計画局長: なくなるどころか、増えてますよ。
環境局長: 私、ウランは 1000年以上 ダイジョウブだって 聞いてますけど?
榎本教授: それは あくまで 高速増殖炉計画が 実現すればの 話です。
財務局長: ああ、モンジャね。
都市計画局長: もんじゅ、じゃ ないですか?
榎本教授: 原発で 使える 燃える ウランは ウラン全体の 0.7% にしか すぎません。 それで、残り 99% の ウランを 高速増殖炉プルトニウムに 変えて 増殖できれば、60倍に 利用価値が 増やせると いってるだけです。
副知事: その もんじゅは 火災事故の 後、運転してませんよね?
榎本教授: 世界中の 増殖炉計画も 危険すぎて 廃止されとりますが、日本だけは なぜかまだ あきらめきれないようです。


榎本教授: ちょっと 考えれば 矛盾に 気がつきます。
石油は 電気以外にも クルマを 動かしたり 繊維や プラスチックなど さまざまなものを 生みだし、あらゆる所で 使われております。
政策報道局長: そうか、当然 原発の 中でも 使ってますよね。
環境局長: 電気だけ あっても、それを 使えるものが なくなるわけね。
榎本教授: そうです。 原子力は 石油と 違い、電力以外には 何も 生みだしませんから。
生みだすのは 死の灰だけです。
環境局長: 死の灰?

榎本教授: はい、今 世界中で 頭を 悩ましてるのが、その 使用済核燃料などの 放射性廃棄物の 処理問題です。
なかでも プルトニウムは 自然界には 存在しない 危険きわまりない やつで、わずか 1グラムの プルトニウムが 一般人の 年間被爆許容量 18億人分に あたります。
それに、プルトニウム核分裂を 起こしやすく、核兵器に 利用しやすいんで、テロにも 狙われやすくなります。
その プルトニウムMOX と いわれる プルトニウム燃料となって、フランスや イギリスから 返還されてきます。
政策報道局長: それって たしか 高いカネ 払って 再処理してもらった ものですよね?
財務局長: 処理されてるなら 問題ないじゃないか。
榎本教授: いえ、再処理と いっても 別に 放射能が なくなったわけでは ありません。
都市計画局長: えっ? じゃあ 再処理って いうのは?
榎本教授: 使用済核燃料の 中から ウランと プルトニウムだけを 取り出す 作業のことで、その後に 残る さらに 高レベルな 放射性廃物とともに、これから 日本に 返還されてくる 計画に なっとります。
環境局長: ええっ、高いカネ 払って、ゴミまで 送り返されるの?
榎本教授: 25年も 前に 結んだ 契約です。


榎本教授: その結果、ここで さらに 重大な 問題が 発生するんです。

環境局長: ええっ、まだ あるの?
榎本教授: 大金を 払って 取り出した その プルトニウムですが、高速増殖炉が 止まってるんで 使い道が ないんですよ。
副知事: そうか、核の 拡散に つながるのか!
政策報道局長: なんです?
副知事: だから、プルトニウム核兵器の 材料ですから、それを 消化しないと 核拡散に つながるんで マズイんですよ。
榎本教授: 現に、日本は そんなに プルトニウムを 貯えて 核武装でも する気なのかと、外国の メディアから 皮肉られております。
副知事: だから、プルサーマルに 切り替えたわけか。
都市計画局長: プルサーマルって、例の 核燃料サイクル事業って やつでしょ? 資源を リサイクルさせるっていう。
榎本教授: わかりやすく いうと、ウラン用に つくられた 現在の 原子炉で、プルトニウム核分裂させて 発電する 計画です。
環境局長: いい方によって、ずいぶん イメージが 違うのね。
榎本教授: 燃料の リサイクルの 名目で 福井や 福島などの 原発で やろうと しとりますが、できてしまった プルトニウムを しかたなしに 燃やそうと してるとしか 考えられません。
財務局長: まあ、資源が 乏しい 日本なんだから、エネルギーを 安定供給するには いい 方法じゃないの。
榎本教授: ですが、ウラン発電に 比べ、危険性が 非常に 高い上、何倍もの コストが かかるので、
財務局長: 消化しなきゃ ならんのだから、しかたないじゃないか。
榎本教授: 残念ながら 運転後にも、使用済核燃料の 中に プルトニウムは 発生するので、その 絶対量は 減らないんですよ。


副知事: (東海村 臨界事故で) それだけ 重大な 被害を もたらしたのは、たった 1ミリグラムの ウランだと 聞いていますが?
榎本教授: はい、ウラン燃料と いうのは 核分裂させると、その 放射能は 1億倍ぐらいに 増大するんです。
環境局長: 1億倍!
副知事: 使用済核燃料と いってるのは、その 核分裂させた後の ウランですね?
榎本教授: そうです。 ですから 死の灰などと 呼ばれるわけです。
すでに 全国の 原発の プールは その 死の灰で 満杯に 近い 状態なので、六ヶ所村の 再処理施設に 運んでおります。
副知事: でも、あそこ まだ 運転してないですよね?

榎本教授: ええ。 2005年からの 予定ですが、運転を 開始しても、その 処理能力は 年間 800トンしか ないんで、毎年 1000トンずつ 増え続ける 死の灰の 処理は、とうてい 追いつきません。
それに、再処理によって 生まれる、さらに 高レベルな 廃棄物を 圧縮容器に 詰め、最終処分と 称して、何万年も 先の 未来まで 地層に 埋めようとしています。
副知事: 地下水などに 影響は ないんですか?
榎本教授: 1万年 たっても 消えない 強烈な 放射性物質を 埋めて、影響が ないわけが ありません。
環境局長: じゃあ どうすんのよ? また どっか 運ぶの?
財務局長: そんなものは ロケットに 積んで、宇宙へ ドーンと 打ち上げれば いいじゃないの!

都市開発局長: それ、いい 考えですよ!
政策報道局長: でも、打ち上げは あの 宇宙開発事業団が やるんでしょ?
財務局長、都市開発局長: ...
榎本教授: 他の 国でも その 最終処分のために、それこそ 天文学的な カネと 頭脳を つぎこんでますが、完璧な 方法は なく、世界中が 先送りに したままです。



環境局長: 原子爆弾を 落とされた この 国が、どうして 今だに 原子力を 推進しているのか、理解できないわね。
副知事: こんな 狭い 国に 50機以上も 原発が あるなんて 信じがたいですよ。
政策報道局長: そんなに あるんですか?
副知事: 2010年までに あと 10機は つくるみたいですよ。
環境局長: えっ そんなに?
副知事: 確かに エネルギー政策は 重要です。 しかし、そのために 何万年も 先の 未来まで 核のゴミを 残すことに なるんですよ。
それを わかって やってるのが 理解できない。
環境局長: ほんとね。
財務局長: 利権だよ。 原発 1機に 数千億も かかるんだろ? 原子力産業に どれだけの 企業が ぶらさがってると 思ってんだよ。
わかってるくせに。


都市計画局長: でも、CM でも やってるじゃないですか。
日本の 原発の 安全対策は 何重にも なってて、訓練も 毎日 万全に やってるし。 女性の 案内でね、所内も 見学できるんですよ。
財務局長: そうなんだよ。 ロシアじゃ ないんだから。
産業労働局長: 「日本の 原子力に 関する 情報公開は ロシアにも 劣る」
財務局長: なんなんだよ? それ。
産業労働局長: いえ、ちょっと 思い出したんですが。
1999年の デンバー国際会議で アメリカの 自然資源防衛協議会 NRDC が、日本を 批判した 言葉です。
財務局長: なにも クジラ 食ってるからって、そこまで いうこと ないだろ!
環境局長: クジラ 関係ないの。
政策報道局長: ロシアといえば、あの チェルノブイリの 事故の 後、周辺の 人たちは どうなって いるんですかね?
財務局長: 教授に 聞いてみよう。

榎本教授: それは 2000年の 4月に ロシアが 発表したもんです。
環境局長: 何て 書いてあんの?
財務局長: 「原発事故の 処理に あたった 作業員 86万人のうち、5万5千人以上が これまでに 死亡し、残る 生存者も 87% が 発病している」

榎本教授: ウクライナだけで 20万人以上が 犠牲に なっているという 情報も あります。 いずれにしろ、正確な 数字は 永久に 明らかに なることは ないでしょう。
これは 事故で 放射能に 汚染された 地域を 示した 地図です。
強制的に 避難命令が 出された 地域は、チェルノブイリから 北に 300キロ 離れた 地点にまで 達しました。
これを、チェルノブイリ原発よりも 大きな 規模をもつ 静岡の 浜岡原発を 中心に 描いたものが これです。



映画は この後、東京原発 誘致の 是非を 問う 採決へと 進むのですが、直前の シーン、今だったら きっと、早川さんの マップ、
「フクシマと チェルノブイリの 比較」
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-450.html
が フリップとして 採用されるでしょうね。
(追記) マップが 一時的に 見れないようです。