読書ノート

[Rosa Luxemburg]
経済学入門

(クレタ島の 伝説では) 征服された 農業共同体は 彼らの 労働による 収穫から 彼らの 生計費を 除く すべてを 貢納しなければ ならず、すなわち、支配者側の 共同体が、自らの 耕作労働に よらず、(被支配者の) 共同体からの 搾取である 貢納で 生計を 営むのだが、彼ら自身の 共同体の 中では 依然、共産主義的 (分配による) 消費形態が 保存されていた。

スパルタでは、われわれは -- その 一歩 前進した かたちとして -- 次のことを 見いだす。 すなわち、土地は 征服された 共同体の 所有で なくなり、支配者の 所有と 認められ、彼らの あいだでは 共同体 方式に のっとった 分割交換 あるいは 抽選による (土地の) 交換が 実施されていたと いうことだ。

征服された (共同体の) 社会組織は、その 基盤となる 土地の 所有を 失うことによって 破壊され、彼ら自身、支配者の 共同体の 所有物と なり、その 共同体において 彼らは、共産主義的 (分配により)、割り当て耕地と 同様に 「国家から」 個々の 成員たちに 労働力として 委譲される。

(この 段階に おいて) 支配者である スパルタ人自身は いまだ 厳格に 共同体的 諸関係に もとづいた 生計を 営む。 だが (こうした) 寄生的な 性格は 支配者たちの 内部へも 共同体 崩壊の 萠芽を 持ち込まざるを 得ない。

征服、および 搾取を 恒常的に (国家の) 制度として 固定する 必要性が、(スパルタの) 強力な 軍隊育成を もたらしたのであり ... こうして 不平等への、特権身分 形成への、最初の 要因が、もともと 自由で 平等である 農耕民の 胎内 (すなわち 共産主義的 共同体) へと 産みつけられたのだ。

ある 1つの 原始的 共産主義社会による 別の (共同体の) 征服の 結果は、進展の 差こそあれ、つねに 同じである。 すなわち、それは 支配者たちの もとでも また 被支配者たちの もとでも (同様に) 共産主義的、伝統的な 紐帯が 破壊される、と いうことであり、まったく 新しい 1つの 社会構成体が 生まれ、そのなかに (共同体の あいだで) 連関的に 生じる 不平等と 搾取を ともなった 私有制とが 現われる、と いうことである。

こうして 古典的 古代における 古い 共同体の 歴史は (その 役割を 終え)、 一方で、債務を 負った 小農民 民衆 (citizen) と、軍務、公務 および 貿易を 掌握し (共同体の) 未分割 共有地を 大土地所有制と した 貴族との 対立が 生じ、他方、こうした 自由民から なる 社会全体と 奴隷 (slave) との 対立が 生じることと なるのである。

(そして) かつての、1つの 共同体により 敗北し (征服された 共同体への) 貢納経済的な 搾取形態の さまざまな 段階から、(支配者) 個々人による 奴隷の 購入 (すなわち 奴隷制) の 導入へと 至るのは、ただの 一歩に すぎなかった。

この 一歩を、海上交通 (の 発達) と 国際貿易 (による 富の 蓄積) および その 諸結果とにより、ギリシャは (エーゲ海の すべての) 沿岸と 島々の 諸国家に おいて (わずか 数世紀の うちに) 急速に なしとげたのである。

経済的事実 (2)

次は、近世 西ヨーロッパ勢力による 社会構成体の 世界的再編成。