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[マーク・トウェイン 3部作]
といっても 『ハックルベリィ・フィンの冒険』 のような 著名な作品のことでは ない。
20世紀初頭に 主に 帝国主義者たちに めがけて 投げつけられた 少し 変わった 3つの 小説の ことだ。
トウェインの 思わくどおり、発表当時 それらは 石つぶての ごとく 見事 敵の顔面に 命中した、しかし なぜか 文学史の上では 単なる サタイアと 見なされ、他の 小説のように 詳細に 取り上げられることが ない。
また、これらの 小説に 先行して 発表された 「暗黒の中に座する者へ」 には トウェインの 帝国主義に 対する 批判 - ここでは 中国に 派遣された 宣教師への - が 直截に 述べられている。
トウェインは 晩年、人間に 絶望し ペシミズムに おちいったとされるが、そうした 文学史上の 評価は 再度 洗い直す 必要が あるようにも 思う。 あまりにも 『人間とは何か』 に 引きずられているのでは ないか。


"To the Person Sitting in Darkness" (1901) 「暗黒の中に座する者へ」 (エッセイ)
http://www.nutshellhifi.com/library/marktwain.html
"A Defence of General Funston" (1902) 『ファンストン将軍の自己弁護』 (小説)
http://en.wikisource.org/wiki/A_Defence_of_General_Funston
U.S.A. 帝国主義者たちによる フィリピンへの 侵略。
"The Czar's Soliloquy" (1905) 『ロシア皇帝の独白』 (小説)
http://www.hannibal.net/twain/works/czars_soliloquy_1905/
ギボン 率いる 請願デモヘの 軍の発砲、いわゆる 「血の日曜日」 事件。
"King Leopold's Soliloquy: A Defence of His Congo Rule" (1905) 『レオポルド王の独白』 (小説)
http://www.chss.montclair.edu/english/furr/i2l/kls.html
ベルギー国王 レオポルドによる 20数年に わたる コンゴでの 暴政。
これだけが リーフレットとして 出版された。 しかし 彼の死後、著作集にも 含まれず、1961年に 当時の 東ドイツから 出版され、U.S.A. 本国では 共産党系の 出版社 International Publishers から 1970年に 刊行されただけである (注)。
日本では 1968年、理論社から 佐藤喬の 訳に、若くして 亡くなった 野間寛二郎の 解説を 付して 刊行された (これは 東ドイツ版の 訳)。


(つけたし) おもしろいですよ!
(注) 藤永茂さんの 「『闇の奥』の奥」(isbn:4879191671) によれば、「1994年にも 出版されている」とのことです。