miscellanies

[Jose Guadalupe Posada]

ホセ・グァダルーペ・ポサダ (1851-1913) の 名を 聞いたことが あるだろうか ?
画家 北川民次によれば 「彼は 一介の 貧乏な 版画工」であり、そして また「現代メキシコ美術の 父祖」と 呼ばれる 存在である (「美術手帖」'48-10)。
彼が 生きた 時代は、独立後の 混乱した 「ディアス将軍 抑圧政権」の年代と 重なっていて、「彼の版画には、どれを 見ても 当時の 国民の 不安と 恐怖と 反抗の気分が 写されていないものは ない」。
彼の 版画で 一般に 知られているのは、骸骨を 描いた 一連の 銅版画だ。 だが、それ以外にも 当時の 事件を 扱った 多くの 版画が ある。 上の 版画は メキシコで 起きた 大地震を 扱った ものだ。
「ポサダの 版画には、銅版と 木版の 二種が ある」。「銅版は、銅の板へ 最初 手彫りの 図を 描き、ところどころ 腐食で 処理した 凹版であり、木版のほうは ことごとく ツゲの 木口木版である」。
木版画には、確かな デッサンで 描かれた、橋の 欄干から ロープで 吊された 男の死体を 引き上げている 一女性を 描いた 印象的な ものも ある。
ポサダは 生涯に 「少なくとも 一万五千枚の 作品」を 残したと いわれるが、画家 リベラの 助手である ポール・オヒギンスの 努力で ポサダの死後 集められた 版画原版は 五百枚にも 満たなかった。
フランシス・ツーアの 手で 初めて ポサダの 版画集が 出版されたのは ようやく 1930年に なってのことだ。
日本でも ポサダの 版画集を だす 企画が ある出版社から 予告されたが、今のところ まだ 出版されては いない。
ポサダは もっと 知られても いい 版画家だと 思う。



(追記) 版画と いえば、もう 一人、魯迅の 紹介により 戦前から よく 知られていた マズレール (F. Masereel) の 作品も 再度 取り上げられて よいものの 一つだろう。
特に 「ジャン・クリストフ」の さし絵として 彫られた 連作版画は、その 黒と白との 画面構成が とりわけ 優れていると 思うのだが ...
(さらに 追記) ちょっと 訂正。