miscellanies

[葬儀のあとで]
もしかして 家族に 老人が いる 人にとって 少しは 役立つかもしれないので 書いてみましょう。 母親と 二人三脚で 暮らしてきたのですが、まず 第一に 心がけたのは ぼくの 住んでる 区画の 人々に 頼ったことです。 わずか 6軒の 小さな 区域です。 葬式も その人たち 1軒、1軒に 声をかけ 集まってもらいました。
離れてる 家族や 母の 友人は -- 残念ながら -- 何も してもらわないほうが よかった。 二人とも 疲れさせられました。 善意で やってくれるので、文句を 言うわけにも いかないし。 それと 驚いたのは この人たちが 医師や 介護制度に 全幅の 信頼を 置いていたことです。 そんなこと あり得ないのに ...

老人問題は、一般の人が 考えているよりも はるかに 深刻である。 65歳以上の 人口は、現在 (1983年) は 全体の 約 10パーセント。 それが 21世紀初頭には、20パーセントに 達すると 予測される。...

現在 深刻なのは、老人たちの 10パーセントが、なんらかの 精神疾患を 抱えてるという点だ。 その半数は うつ病や ノイローゼで、あとの 半数は 老人性痴呆症、つまり 「ぼけ」 であると いう。 今世紀の末には、これら なんらかの 精神疾患を 抱えた 老人は、およそ 240万人にもなる 計算なのである。

精神疾患の 人間が 使用している ベッドは、日本の 全病院の ベッド数の 4分の 1 というくらいに、精神、神経系統の 病院は、現在でも すでに 満員である。 そこに 240万人の 老人が、大挙して 押し寄せていく。 今の 医療システムで、めんどうを みきれる 数字ではない。...

そればかりか、これからは 物を 買うにしても 選ぶにしても、すべて 自動化である。 老人は、日常生活で 言葉を 使う 機会さえ なくなっていく。

日本語を 「忘れる」 老人すら 増えていくだろう。 そんな 社会の 機械化 それ自体が また、うつ病や ノイローゼや ボケを 発生させる。

恐ろしいのは、くり返すが、社会の コンピュータ化とともに、人間が ますます 冷たくなることである。...

この思想の 延長線上に 考えられる 最大の 悪夢は、それら 「問題老人」 を ただ 一括して 囲いこむ、老人福祉総合医療センターとかいう 名の、「老人強制収容所」 である。 福祉行政の 破綻の 行きつく先は、すなわち 未来の うば捨て山の 実現に ほかならないであろう。

武谷三男

ぼくの 一番 恐れたのは うつ病だ。 身体機能の 低下によって 不安を かかえ、その結果、発病することが 十分 起こりうる。 長期間の 治療が 必要となるが、老人の 場合、投薬による 副作用に 耐えられるとは とうてい 思えないからだ。
だが ここでも 精神科医に 失望させられることに なった。 10分ほど 話を 聞き、突然 認知症の テストを 始めたのだ。
しかたなく、その 予防のための 対処法を 自分で 考えなければ ならなくなった。
次は、普段 服用していた 薬のことを ...